未収金回収の問題
これは、医療機関においては、由々しき問題でしょう。
基本的に、診療・治療の報酬の請求は後払いです。つまり、診療や治療が終わってから窓口会計となります。
この時に、患者さんにお金がない場合にはどうしたらよいか。もちろん、後で支払ってくれればよいですが、逃げられてしまったらどうしたらよいか。
残念ながら、一回逃げられてしまうと、回収は困難です。
また、逃げられていなくとも、溜まりに溜まってお金がないといわれて支払いできないと言ったケースもあります。
事前にクレジット決済という方法もありますが、手数料もかかりますし、多くのきちんと支払ってくれる患者さんを疑っているようで、なかなか踏み切れないのが実情なのではないでしょうか。
もちろん、手術や自由診療等であれば、事前に預り金をとったり回数券にしたりといろいろな手段があります。
しかし、どれも一長一短なのではないかと思います。
内容証明で請求をして損金にする
当然ですが、未収金であっても、売上には加算しなければなりません。そうすると、実際に入金がない分も売り上げがあったとして、課税されます。まさに踏んだり蹴ったりです。
これを回避するためには、内容証明で損金とする方法です。内容証明でいつまでに支払ってください、と請求をし、支払いがあればよいですし、支払いがなければ支払われることがないということが確定したとして《損金》として税務申告すれば、一部ではありますが、支払う税金が減るという形で未収金の一部回収をすることができるのではないかと考えられています。
もちろん、当局の考え方にもよりますので、これが必ずしも正しくはない場合もあるかもしれません。
そもそも、どうやって回収したらよいか。
世の中では仮想通貨等という言葉が飛び交い、様々な決済手段が医療においても飛び交う時代が来るかもしれません。
しかし、そのような時代はまだ先でしょう。患者さんを疑って最初に支払いをさせるというのも、なかなか現実的に難しいものです。
このように、未収金問題は医療機関経営を圧迫しますが、なかなか解決の糸口が見つかりません。
一つの方法としては、自由診療等ある一定の金額以上のものについては、事前によく説明して《預り金》をする。
単価が安い窓口清算の場合は、緊急性がある場合を除き、未収金がある場合には断る。
介護施設等入院中で他に行き場所がない場合で、家族が来ないような場合は、入院時にそれなりの法的書面を交わしたりして、有事の際の対策をする、等です。
まとめ
いずれにしても、金銭が絡むことは難しい問題です。しかし、医療機関経営をしていく上で、確実に金銭を回収する問題は尽きることはないことでしょう。
積もり積もれば莫大な金額にもなりかねません。今後、保険診療から自由診療に切り替わる部分については、より大きな問題となることでしょう。
ぜひ早めのご相談をお待ちしております。
以上
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