賃貸物件オーナーを悩ます問題として,長期の賃料未払,契約終了後の居座り,居住者の死亡などはつきものです。
いずれも最終的にオーナーが目指すことは借主または借主であった者の占有を排除することです。本来,契約段階でリスクヘッジすることが一番ですが,すべてのリスクを取り除くことはできません。
実力行使は厳禁
例え不法占有者であっても私的な実力行使で追い出すことは認められません(逆にオーナー側の刑事責任が問われます)。
法的手続きとしてオーナーは建物明渡請求訴訟を提起することになりますが,かなりの時間と労力を要します。そこで,訴訟提起前の立退交渉というものが重要となります。
退去者との直接交渉は困難
交渉すべてに共通することですが,立退交渉に至るまでの経緯からして,当事者間での話合いは感情面も相まってうまくいくことは少ないでしょう。
その際,代理人である弁護士が,法律的に情報を整理して説明をすることで,事態が一気に収束するということも珍しくありません。相手方が不当な立退料を請求するような場合も,弁護士であれば法的根拠の不存在を示し,反論することが可能です。
交渉に当たっては,退去予定日を決定し,その間の賃料相当損害金の額を定める等退去に関するルールを作り,合意することになります。
この場合,可能であれば,裁判所において退去に関するルールを和解調書として残してもらう「即決和解」という手続をとります(なお,公正証書が強制力を持つのは金銭請求についてのみであるため,建物明渡請求について強制力を持たせたい場合には即決和解手続を利用します)。
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