Q 患者に支払い能力がない場合でも診察に応じなければならないのでしょうか?
A 緊急性のある場合は応じるべきですが、難しい問題です。
【解説】
- 応召義務のところでも言及しましたが、応召義務がある以上、当然診察に応じる義務を負うのが原則です。
なぜなら,患者に支払能力がない場合というのは,診療を拒否できる「正当な事由」とはならないのが通常です。 - もちろん,すべて杓子定規には決定することはできません。ものごとには原則と例外があり、当該医師の能力では対応できない場合や、施設的に適切な治療ができない場合などは、どこか適切な医療機関や行政による補助を案内するようなことを求められる場合はあります。
裏から見れば、そのような場合であれば,診察をすることができなくても正答な理由があると認められ、他方そうでなければ政党な理由がなく、応召義務違反になってしまう可能性があると考えられます。 - 結局、上記のように、後から「このような状況であれば、応召義務に違反したとしても仕方ないね」、と言ってもらえるような状況でない限りは、応召義務違反になってしまうと考えておけばよいでしょう。
具体的にお困りの際には、弁護士に相談をしたうえで、判断をすることがよいと思います。特に大事なのは、どのような証拠をその際に作っておくかのアドバイスをもらっておくべきです。
そうすれば、いざ応召義務違反を指摘されたときに、このような理由があったのだと証明することができるからです。
もっとも,これで大丈夫というものはありません。どのような手続き過程がよいかについては,しっかりと吟味する必要があるでしょう。
ただ悩ましい場面であれば、診察をしておいた方が無難と考えられます。
以上
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