保険会社からの問い合わせ
~いきなり怒り口調だった場合はどうしたらよいですか?~
特に保険会社からの問い合わせが多いのは、交通事故の一括請求の際でしょう。
一括請求と対比されるものとして、償還払いがあります。特に専門用語ではありませんが、通称このような言い方をされることが多いです。
一括請求とは、患者さんが治療を行った医療機関において窓口を支払わない場合です。この場合、レセプトのような形で、請求書を保険会社に送付し、保険会社から一括して支払いを受けることになります。
他方、償還払いとは、窓口では患者さんが自分で支払いをし、患者さんが自分で保険会社に請求をし、保険金をもらうということです。
健保利用
いずれの場合も、健康保険を利用してください、と保険会社から言われる場合があります。
通常の医療機関であれば、それでも良いですが、自費での治療のメニューがある治療の場合は、保険会社との交渉が必要となります。
なぜなら、保険会社としては、健康保険で大部分を負担してもらい、窓口負担部分のみ負担する方が、負担が少なくなるからです。
この点については、患者さんが健保利用を希望すれば、そちらを選択しなければなりません。したがって、ここに保険会社が誘導するケースはよくある話です。
医療機関と保険会社は原則として契約関係にない?
保険の支払いについて、直接保険会社から医療機関が支払いを受けているとすると、医療機関としては、保険会社と医療機関が契約関係にあるような錯覚に陥ります。しかし、残念ながら、契約関係にはありません。したがって、医療機関が請求した金額を支払う契約上の義務は、実は保険会社にはありません。
ただ、保険会社から見ても被保険者はお客様です。したがって、保険会社としては、お客様が窓口で負担することのないよう、サービス向上の一環として一括払いに応じているというのが現状です。
これは不正や違法な請求がないことを前提として成立することです。しかし、昨今、ある種の医療機関の中で、交通事故の自費で多額の請求をするところが目立つようになってきています。そうすると、上記の前提が覆るということになります。そうすると、どうなるか。当然のことながら、保険会社はその分野の医療機関に対して疑心暗鬼になるということにつながります。
これは、一部の心無い医療機関が同じ業界にいるということから、他の真面目な医療機関に波及することになります。
保険会社からの問い合わせ
当然、信頼関係を裏切られるような形になった保険会社は疑心暗鬼になり、どうするか。
本当に来たんですか。そんな治療したのですか。そんな治療が必要ですか。水増ししていませんか。等々。特に、接骨院は自費で金額が多額になるので、保険会社から狙い撃ちにされることが多いです。担当者もまちまちです。強行的な担当者はいきなり訪ねてきたり、カマをかけてきたり、誘導尋問をかけたりして、不正請求だ、と言ってくる場合もあります。
強い口調で怒鳴ってくる場合もあります。
この時、強く言い返してはいけません。保険会社は最後の手段として、一括の取り扱いをしませんよ、と言ってくる場合があります。契約関係にない以上、これもやむを得ないことです。ですので、あくまで紳士的に行きましょう。難しそうな場合は、早めに弁護士に相談するのがよいでしょう。
患者さんが原因の場合
交通事故の場合、短期間に何度も被害に遭う患者さんもたくさんいます。保険会社から聞いたわけではないですが、保険会社はそのような交通事故の被害者について強行的な取り扱いをするケースを何度も経験しています。
なぜなら、前の治療をしている中に、他の事故に遭えば、その後に治療している治療はどちらの事故が原因かわからず、保険会社としては事務処理の量が多くなりますし、法律関係がややこしくなるからではないかと思います。
あとは、短期間に何度も事故の被害者になること自体不自然だと考えているケースもあるのではないかと思います。この場合、その患者さんに対する怒りが、医療機関に向いてしまうこともあるようです。これは、担当者が医療機関と患者さんとが法律関係が別だということをしっかり理解していないケースに顕著な印象です。
淡々と対応
とにかく、きちんとやったことをやったものとして堂々と請求しているのであれば、何を言われても臆することはありません。淡々と自分はきちんとしていることを示せば足ります。
むしろ、弁解をすると逆効果になる場合もあります。なぜなら、後ろめたいから何か証拠を用意していたと保険会社が考える可能性があるからです。とにかく、淡々と対応すべきです。あちらがヒートアップしていても、淡々と。それが一番です。
以上
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