これは、どこの医療機関でも一度は経験する難問です。ポイントは、何をすればよいのかという発想ではなく、何をしてはいけないのかという発想で行くということです。
1、電話の場合
- 電話で、個人情報は一切話さない。
- 電話で話してよいのは、予約・予約の変更・予約のキャンセル、道案内のみ。
- 上記以外の受け電話の場合は、「FAX」でもらう
- 「FAX」が来たらすぐに弁護士に見せる
- イレギュラー対応について常時学習する
電話対応についての解説
とにかく、相手方が誰かが不明なのにべらべら話してしまうことは絶対にアウトです。
相手が本人である核心が持てない以上、電話では単純情報のみを話すようにしましょう。
応用編で、しつこく電話をかけてくる場合があります。
この場合は、非通知であれば、非通知拒否設定、通知の場合は、特定番号拒否設定にしてください。あまりにしつこい場合には、すぐに弁護士に相談してください。まずは拒否設定で対処が可能です(弁護士事務所である弊所もそうしています)。
2、直接来院型の場合
- 基本的に話をしない
- 「質問カード」みたいな用紙を準備しておいて、そこに記載してもらう
- 院長は基本的に出さない
- 下手な対処をするくらいならすぐに弁護士に連絡する
- 弁護士を入れたら「もう後は直接話できません」で通す
- それでもしつこい場合には「最寄り警察署」に連絡して業務妨害で逮捕してもらう
(案外すぐに動いてくれます)
直接来院型の解説
まず、業務妨害で警察に連絡することに躊躇しないでください。
弁護士は、基本的に実力行使はできません。あくまで、法律行為のみの代理に過ぎませんから、書面での窓口対応のほかはアドバイスしかできないのです。
ただ、警察に相談する場合には、弁護士に相談したら業務妨害で相談してほしいといわれたということは構いません。必要に応じて弁護士が代理して対応します。
とにかく、クレーム(有事の場合もただのクレームの場合も)は、まともに受ける必要はありません。逆に「話をすれば聞いてくれるんだ」と思わせてしまったら、助長させてしまい、かえって収拾がつかなくなってしまいます。
ここで、大切なのは賠償保険に入っていることです。これによって弁護士が間に介入すれば、あとは、クレーム対処も容易になり、賠償金が発生する場合でも保険会社が弁護士から事情を聴きながら支払いまで行ってくれます。
さいごに
いくら安心・安全な医療を心がけていても、クレーマーは絶対に避けられません。
その対処法は正直難しいですし、上記の基本的な姿勢を知っているだけでも身についていなければイレギュラーな対応ができないことでしょう。
ですので、法律的なものの考え方を常に学んでいく必要があるのです。これは、すべての医療関係者の必修科目と考えております。
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