A.法律家は、医師の診断書や鑑定書について、非常に信用性の高いものとして扱う傾向が一般的にあります。これは、医療のことについては、わからないので、医師のいうことを信じるしかない、という前提がこれまではあったのだと思います。
しかし、医師が診断書を書く場面で、医師がどのような認識をもって診断書や意見書を書くかによって、内容は大きく変わるのが通常です。医療訴訟でも、患者側からの依頼では、過度に患者側に有利な診断書や意見書が出てきて、医療機関側では過度に医療機関側に有利な診断書や意見書が出てくるというのは日常的な話です。
これでは、真実にたどり着くことはできず、また、刑事事件では、その傾向は顕著となります。
というのも、刑事事件で診断書や意見書、鑑定書等に問題があると、その結果として、被疑者・被告人とされた方は、不当に重い刑罰になる可能性があります。そうすると、いくら反省しているとか、社会的制裁を受けたとか情状を主張しても、そもそもの法定刑の段階で、不利な土俵で戦うことになります。
検察官は、検察官はできる限り重い罪名、重い罪で起訴するのが通常ですので、その土俵の設定の段階で、不利なことになってしまうのは被疑者・被告人とされた方にとってこの上ないマイナスと言えるでしょう。
このような、戦わずして負けることがないよう、診断書や鑑定書については、どのような状況で、どのような認識の下で作成されたものであるかを吟味し、そのまま信用することのないようにすることが重要なことと考えられています。
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