医療安全と労働安全
米国人の死因、第3位は「医療ミス」、推計25万人が死亡
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160504-35082134-cnn-int
GW中にこんな記事が飛び込んできました。私は、これを見て、「医療」と「司法」の連携は、訴訟大国である米国でも進んでいないのか、と考えました。
その記事の中には、「患者の安全性向上を優先課題とする必要がある」との指摘があり、「医療ミスを防ぐための装置や仕組みが整っていない病院が多いことを問題として挙げ」ています。実は、これはまさに日本でもそのまま当てはまります。
つまり、医療安全体制の構築というものは、医療訴訟の予防と同義であり、まさに、安心・安全な医療の実現に資するものです。
医療安全体制構築≒医療訴訟の予防
日本でもこの動きはややあり、セミナーや講習会等において、医療安全に向けた教育が少しずつ動き出していることは良いこととして挙げられます。
これに付随した良いこととして、日本の病院において、「医療安全部」なる部署を置く病院が増えて、主に医師や看護師がその担当として日々医療安全に取り組んでいます。
他方において、残念なこととして、医療安全に弁護士が組み込まれていない病院が少なくないということです。なぜなら、
医療安全体制の構築≒医療訴訟予防
であり、訴訟のみならず、適正手続のプロである弁護士が加わっていなければ、有名無実のものとなってしまうからです。
医療訴訟は、少なくとも日本においては、事前の医療安全体制が構築され、それに則って適正に行っていたのであれば、たとえそのような中でミスが生じたとしても、裁判で責任を負わされることはありません。裁判で病院が負けるということは、医療安全体制構築に問題があることの裏返しとして言えます。
このことは、会社企業において、ハラスメントやうつ病、解雇等の労働問題についても同様のことが言えます。すなわち、事前に法的素養のある産業医を入れることによって、相当程度労働問題を問題にならずに解決することができます。
産業医の仕事は、第三次産業においては、労働法務そのものといえます。
会社の法務部や人事部との連携においては、医療に関係する部分を法律的に説明する必要があります。他方において、うつを罹患して労働者については、その休職・復職について、その担当の精神科医とお話ができなければなりません(この点は、医師である以上、ほぼ問題はないですが)。
このように、医療訴訟の予防と、労働問題の予防とは同じように考えることができます。
結局、何か起きてから依頼するのでは「遅い」という点では共通しています。コンプライアンスが叫ばれる時代です。是非、貴社の労働環境が適切なものであるか、そのチェックから始めましょう。
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