Q.従業員を確保するため,契約で一定期間辞めないようにすることは可能なのでしょうか?
A.医師・歯科医師だけでなく、コメディカルから事務スタッフに至るまで、採用時に契約内容として期間を定めることはできます。しかし,民法や労働法によって文字通り「強制する」ことは認められません。正当な理由なく辞めてしまった人に対しては、それによって医療機関が被った損害賠償を請求することは可能でしょうが、やめさせないことは難しいでしょう。
【解説】
- 医師や歯科医師の中で特殊な技術や経験がある場合であり、報酬も高く、業務委託契約で、裁量性が高い場合であれば可能でしょう。他方、雇用契約であれば無理だと思います。
ただ、前者の業務委託契約であった場合でも、実際には雇用契約と解釈されるようなものであればいけません。
すなわち、よくある簡単な契約書では意味がなく,弁護士に相談する等して業務委託契約なのか労働契約なのかなど契約の性質を明らかにした上で実態に即した内容を定めるべきでしょう。
できることなら金額の大きな契約をする場合には、弁護士による契約書の内容を事前にチェックしてもらうことが重要と考えられます。 - 他方において看護師さんや薬剤師さん,各種スタッフについては通常の会社員と同様に労働契約となっていることが多く労働法で規制されます。
- 結局、各種法令や裁判例をもとに、欲すべき効果を狙った要件をきちんと明記し、双方納得の上で契約に至るという過程が重要です。
そうすれば、契約内容を工夫して一定の場合に限られると思いますが、やめさせないような効果を狙うことは可能となります。
具体的なところは弁護士にご相談したうえで契約書を交わしたほうがよいでしょう。
以上
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