Q どのような場合に,保険請求の資格が取り消されるのでしょうか?
A 診療報酬詐欺や,著しく不正な診療報酬請求をした場合などが一般的です。
【解説】
- 医師免許に対するところと多少かぶりますが,最たるものは,診療報酬詐欺か,そこまではいかなくとも,不正な請求をし,その程度が著しい場合と考えられます。
保険医が取り消されるのは,医師の場合,医師として実質的に診療ができないというに等しいです。また,保険医の登録がなければ,原則として,医療機関では働くことはできません。 - この診療報酬に関することで特に気をつけなければならないのは,小さな規模の医療機関で多いのですが,その業界ルールというものです。業界ルールでこれはこのように算定する,これは請求してもよい,などという暗黙の了解のようなものを聞いたことがあります。
たしかに,そのようにやってきて,これまで大丈夫だったことからそのような風説が流れているのだと思いますが,規定がある場合(主に診療報酬や療養費の請求のガイドライン)、規定に反していたら違法です。
診療報酬は税金が原資であり,そこに対して虚偽の請求をすることは重罰だという意識ができなくなってしまっている医療機関が多いという実感もあります。 - もちろん,誤って請求をしたというのは仕方がありません。当局も素直にそれを認めて経緯を説明したら何も言わないと思います。
しかし、それをきちんと証明できる証拠はないことが通常です。したがって、自分は不正等と関係がないと思われていても、きちんと適切に診療報酬の請求をしているという証拠を残す必要があります。
具体的には、カルテ記載とレセプトとがきちんと整合しているのか、矛盾するようなことはないか、その治療を行うことが妥当だったのか、その理由が明記されているのか、等があるからカルテを見て読み取れることが重要です。
すなわち、結局カルテが証拠となるというわけです。 - 別の角度から見れば、カルテの記載等がきちんとしていない場合,行政指導において、その請求の根拠がないと解釈される可能性があります。後述のカルテのところで詳細を記載しますが,カルテの記載は,いざというときに対患者さんだけでなく,対行政としても役に立つものであることを意識しながら日々の診療を行うべきでしょう。
これを適切に行っておかないと、いざという時に返金請求や、保険医の停止ないし取り消しをされてしまう可能性があります。
以上
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